
Jリーグやプロ野球などのプロスポーツ興行のチケット販売における抽選販売の意味合いについて考えてみたいと思う。
チケットを販売する際は、一般発売の前にファンクラブ会員に向けて先行販売を実施することが通例だ。
この先行販売の方法には二通りあり、先着販売と抽選販売がある。
発売開始日が決まっており、早いもの順で販売をするのが先着販売。一定期間のエントリー期間があり、チケットの購入を当落で決めるのが抽選販売である。
この2つの方法にはそれぞれメリット、デメリットがある。抽選販売における世間一般的に語られるメリットは、公正性が担保されるということだろう。
しかしこの『公平性』、何をもって公平なのか。
留意するべき点は、抽選販売にはユーザーの努力が介在する余地がないということである。
先着販売の際、人気のチケットはすぐに完売してしまう。どうしてもチケットが欲しい熱量の高いユーザーは、発売開始前から画面の前にスタンバイをし、発売開始と同時に熟練された操作でチケットを高速で買っていく。それでもチケットが取れる試合はごくわずかであろう。
つまり、チケットが取れるということは、運はあれど、少なからずとも自身の努力の結果とも言える。この努力量は、チケットが欲しいという熱量と言い換えられる。
しかしながら抽選販売となると、熱量が高いユーザーも低いユーザーも、いやおうなしに同じ土俵に立たされる。
今まではめんどくさくて参加しなかったライトユーザーも気軽に参加できるようになる。そうなれば熱量が高いユーザーからすれば、今までよりもチケットを入手できる確率、頻度は低くなる可能性もあり、不満度は高まってしまう恐れがある。
逆にライトユーザーは気軽にチケットが手に入るチャンスが増え、満足度は高まるであろう。
つまり、チケット販売のターゲットを誰にするか、誰の顧客満足度を上げるのが良いかという議論が大切だということである。
ライト層を活性化するのであれば抽選販売は必要であろう。
なお、抽選販売の副次的なメリットとして、発売開始時のアクセス集中の緩和がある。
先着販売では人気の試合はチケットサイトへのアクセス集中が起こり、コアユーザーにとってはストレスとなっている可能性も高い。先着がベストということは一概には言えない。
コアユーザー向けに最初に抽選販売を行い、次にライトユーザー向けに抽選販売を実施する方法もありかもしれない。(コアユーザーとライトユーザーをどうやって線引きし、カテゴライズ可するかという問題はあるが。)
何が言いたかったかというと、抽選は公平性がある、よって万人に受け入れられると安直に決めつけず、メリット・デメリットを踏まえ、ターゲットに合った販売方法を吟味してほしいということである。
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