
不運な事故で片足を失ったアスリートが、その絶望の淵から這い上がっていく様を描いた物語です。
中山七里さんが書かれているということで、ミステリーの要素も盛り込まれています。
あらすじ(物語導入部分のみ、ネタばれなし)
陸上選手として将来を嘱望されている沙良。しかし不運にも突如交通事故に巻き込まれ片足を奪われてしまう。しかもその事故の加害者は隣に住む幼馴染の泰輔だった。
足という翼をもがれた沙良は、生きる意味を見いだせないままでいた。そんな中加害者の泰輔が殺されるという事件が起こった。
一方で失意のどん底にある沙良に一筋の光明が差す。それは障碍者スポーツだった。この障碍者スポーツとの出会いが、沙良の自尊心を再度形成していく。
おすすめのポイント
社会的弱者への差別とは何か。安易な同情や稚拙な共感は時に弱者の心をえぐる。そこに悪意がなければなおさら怒りの矛先を失い、絶望するしかない。
他人の人生の辛さなんてものは、例え親だろうが分からないし、簡単に介入していいものではない。この小説はそんなダークで重苦しいテーマを突きつけてきます。
読んでいて心を鬱々とさせる感じ、でも知らぬ間に物語に引き込まれている感じはさすが中山七里さん、おすすめです。
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